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5.自家菜園



家を食べる

家の最も重要な機能の1つに、「身体を守る」ということがあります。
それは自然環境や外敵から身を守るシェルターとしての機能という意味ですが、
今や身の危険は体の外側から降り懸かってくるだけではありません。
ここで取り上げるのは、内側からの危険、「食」です。

では、自家菜園をして自宅で採れた安全なものを食べる、というのが、
この提案の全てなのかというと、そうとも言えません。
私たちが自家菜園に求めるのは、もう少し象徴的な意味になります。

市販されている食べ物の危険性が騒がれて久しいですが、
それらの報道が必ずしも正しいとも限らず、
逆に報道されていないような危険な食べ物がある、という可能性もあります。
かといって、住宅に併設された自家菜園で
日々口にする食材の殆どをまかなうのは不可能に近いことです。
つまり、自家菜園で完全な安全を手に入れることは、
難しいと言わざるを得ません。

けれども、身体という問題が私たちの最大の関心事の1つであり、
またそれが食と繋がっているということは事実です。
食を手がかりにして、改めて家と身体を考えると、
自ずと自家菜園に結びつきます。

家⇔自家菜園⇔身体

自然と一体となった家では、
作物は畑で育てるというよりも家で育てると言えるのです。
家は植物や土や水によってできているので、そこで育った作物は、
むしろ家の一部と言っても良いかもしれません。
それを住人が口にする。
作物、すなわち家が、身体に取り込まれる。

つまり自家菜園とは、家を食べることなのです。

このことは家と人間が一緒に生きようとする契機になります。
自分の体のことを考えれば、もはや家に無頓着ではいられません。
なるべく体が喜ぶものを食べるためには、家の状態に注意し、
また、その土地の気温や水、風などの自然現象を感じ、
読みとらなければなりません。
周囲の自然と繋がった家、そして家と繋がった身体。
こうして自然の一部に身体が取り込まれる。
それが、私たちが考える自家菜園です。

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プロフィール

齊藤学

齊藤学
MOSST代表
一級建築士


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